社員の糖尿病、企業把握せず…基準にもばらつき
従業員の糖尿病の有無を企業の3分の1が把握しておらず、健康診断で受診を促す基準にもばらつきがあることが、中部ろうさい病院(名古屋市)の中島英太郎・糖尿病・内分泌内科部長らの調査でわかった。
調査は2012年6~12月、全国9195社に糖尿病対策についてアンケート方式で聞き、810社から回答があった。
従業員が糖尿病かどうか把握していない企業は36・5%だった。企業の規模が小さくなるほど把握率は下がる一方、糖尿病の有病率は高くなる傾向があった。
健康診断で血糖値の状態をみるヘモグロビンA1cの値について、健診施設の基準とは別に、社員の健康指導のために独自の判定基準を設けている企業が190社あったが、内容はまちまちだった。例えば、52・6%の企業がA判定(異常なし)の上限を5・5~6・1%の間に設定する一方、同じ値の幅の間にD判定(要受診・要再検査)の下限を設定している企業も41・6%あった。B判定(軽度異常)、C判定(要経過観察)の社員に、4分の3の企業は特別な対応をしていなかった。
2014年07月28日 20時03分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
過去には、糖尿病につき労災認定を争った事案もあります。まずらしい事案ですが、労務管理上、注意を喚起する意味でも参考になります。
「過労で糖尿病発症」大阪の男性が労災認定求め提訴
2011.4.20 20:23
長期間の過重労働で糖尿病を発症したとして、すし店チェーンに勤務していた元従業員の男性(60)=大阪市=が国に労災認定を求めて大阪地裁に提訴したことが20日、分かった。男性は生活習慣に起因するとされる2型糖尿病。大半の日本人患者が2型とされるが、訴訟で過労と糖尿病の因果関係が争われるのは異例という。
訴状によると、男性は平成4年4月にすしチェーンに入社し、調理を担当していた。19年夏以降、両足がむくむなど症状が悪化。糖尿病と診断されて、休職を余儀なくされた。男性は休業補償などを請求したが、労働基準監督署は不支給を決定した。
男性側は「入社以来、時間外労働はおおむね月150時間に及んでおり、糖尿病の発症は長期間の過労が原因」と主張している。
厚生労働省は脳・心臓疾患の労災認定基準として、時間外労働が発症前2~6カ月で月平均80時間を超える場合などと定めているが、糖尿病にはこうした基準がないという。
MSN 産経ニュース