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代表弁護士 小川敦也

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過労自殺は労災 豊田労基署長事件

事件名

遺族補償年金不支給処分取消請求控訴事件

名古屋高等裁判所平成13年(行コ)第28号

平成15年7月8日判決 豊田労基署長事件

争 点:過労自殺と労災(業務起因性)

精神疾患の発症や増悪は様々な要因が複雑に影響し合っていると考えられているが,当該業務と精神疾患の発症や増悪との間に相当因果関係が肯定されるためには,単に業務が他の原因と共働して精神疾患を発症もしくは増悪させた原因であると認められるだけでは足りず,当該業務自体が,社会通念上,当該精神疾患を発症もしくは増悪させる一定程度以上の危険性を内在または随伴していることが必要であると解するのが相当である。

そして,うつ病の発症メカニズムについてはいまだ十分解明されていないけれども,現在の医学的知見によれば,環境由来のストレス(業務上ないし業務以外の心身的負荷)と個体側の反応性,脆弱性(個体側の要因)との関係で精神破綻が生じるかどうかが決まり,ストレスが非常に強ければ個体側の脆弱性が小さくても精神障害が起こるし,逆に脆弱性が大きければストレスが小さくても破綻が生ずるとする「ストレス-脆弱性」理論が合理的であると認められる。

もっとも,ストレスと個体側の反応性,脆弱性との関係で精神破綻が生じるか否かが決まるといっても,両者の関係やそれぞれの要素がどの様に関係しているのかはいまだ医学的に解明されている訳ではないのであるから,業務とうつ病の発症・増悪との間の相当因果関係の存否を判断するに当たっては,うつ病に関する医学的知見を踏まえて,発症前の業務内容及び生活状況並びにこれらが労働者に与える心身的負荷の有無や程度,さらには当該労働者の基礎疾患等の身体的要因や,うつ病に親和的な性格等の個体側の要因等を具体的かつ総合的に検討し,社会通念に照らして判断するのが相当であると考えられる。

亡Aは,従前からの恒常的な時間外労働や残業規制による過密労働により,相当程度の心身的負荷を受けて精神的,肉体的疲労を蓄積していたこと,昭和63年7月の2車種の出図期限が重なったことによる加重,過密な業務及び出図の遅れにより,極めて強い心身的負荷を受けたこと,職場委員長に就任することにより出図期限が遵守できなくなるのではないかとの不安,焦燥が相当強い心理的負荷となったこと,同年8月初旬の加重,過密な業務及び出図期限の再延長により,相当強い心身的負荷を受けたこと,同月10日から同月17日までの夏休み期間中,いくぶん疲労を回復したこと,夏休み明け後の開発プロジェクトの作業日程調整及び本件出張命令が,既に本件うつ病を発症していた亡Aに対して,強い心身的負荷を与えたこと,住宅ローン,被控訴人の妊娠中の手術及び引っ越しは,いずれも亡Aに対して特段の心理的負荷を与えたものとは認められないこと,三女の出生に伴う家庭環境の変化(三女の夜泣きを含む)は,亡Aに対してそれほど強い心身的負荷を与えたものではないこと,亡Aはうつ病親和的性格傾向(ただし,通常人の正常な範囲を逸脱するものではない。)を有していたことに加えて,亡Aの不眠,早朝覚醒,肩凝り,全身疲労の出現が,上記業務による心身的負荷の蓄積度合いと符合していること,亡Aが被控訴人に対して漏らしていた不安,愚痴が仕事に関するものばかりであったことを総合考慮すれば,本件においては,業務外の要因による心身的負荷はさほど強度のものとは認められず,亡Aの本件うつ病は,上記の加重,過密な業務及び職場委員長への就任内定による心身的負荷と亡Aのうつ病親和的な性格傾向が相乗的に影響し合って発症したものであり,さらにその後の開発プロジェクトの作業日程調整及び本件出張命令が本件うつ病を急激に悪化させ,亡Aは,本件うつ病による希死念慮の下に発作的に自殺したものと認めるのが相当である。

結局,上記の加重,過密な業務等による心身的負荷は,亡Aに対し,社会通念上,うつ病の発症だけではなく増悪においても,一定程度以上の危険性を有するものであったと認められるから,業務と本件うつ病の発症との間には相当因果関係を肯定することができ,本件自殺は,本件うつ病の症状として発現したものであるから,労災保険法12条の2の2第1項の「故意」には該当しないものである。

以上の次第で,本件うつ病の発症とそれに基づく本件自殺には業務起因性が認められるので,これを否定した本件処分は違法といわざるをえない。

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