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代表弁護士 小川敦也

東京弁護士会

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就業規則に基づく解雇 最判昭和52年1月31日 高知放送事件

判 旨

普通解雇事由がある場合においても、使用者は常に解雇しうるものではなく、当該具体的な事情のもとにおいて、解雇に処することが著しく不合理であり、社会通念上相当なものとして是認することができないときには、当該解雇の意思表示は、解雇権の濫用として無効になるものというべきである。

具体的事案検討

本件においては、被上告人の起こした第一、第二事故は、定時放送を使命とする上告会社の対外的信用を著しく失墜するものであり、また、被上告人が寝過しという同一態様に基づき特に二週間内に二度も同様の事故を起こしたことは、アナウンサーとしての責任感に欠け、更に、第二事故直後においては卒直に自己の非を認めなかつた等の点を考慮すると、被上告人に非がないということはできないが、他面、原審が確定した事実によれば、本件事故は、いずれも被上告人の寝過しという過失行為によつて発生したものであつて、悪意ないし故意によるものではなく、また、通常は、フアツクス担当者が先に起きアナウンサーを起こすことになつていたところ、本件第一、第二事故ともフアツクス担当者においても寝過し、定時に被上告人を起こしてニユース原稿を手交しなかつたのであり、事故発生につき被上告人のみを責めるのは酷であること、被上告人は、第一事故については直ちに謝罪し、第二事故については起床後一刻も早くスタジオ入りすべく努力したこと、第一、第二事故とも寝過しによる放送の空白時間はさほど長時間とはいえないこと、上告会社において早朝のニユース放送の万全を期すべき何らの措置も講じていなかつたこと、事実と異なる事故報告書を提出した点についても、一階通路ドアの開閉状況に被上告人の誤解があり、また短期間内に二度の放送事故を起こし気後れしていたことを考えると、右の点を強く責めることはできないこと、被上告人はこれまで放送事故歴がなく、平素の勤務成績も別段悪くないこと、第二事故のフアツクス担当者Eはけん責処分に処せられたにすぎないこと、上告会社においては従前放送事故を理由に解雇された事例はなかつたこと、第二事故についても結局は自己の非を認めて謝罪の意を表明していること、等の事実があるというのであつて、右のような事情のもとにおいて、被上告人に対し解雇をもつてのぞむことは、いささか苛酷にすぎ、合理性を欠くうらみなしとせず、必ずしも社会的に相当なものとして是認することはできないと考えられる余地がある。したがつて、本件解雇の意思表示を解雇権の濫用として無効とした原審の判断は、結局、正当と認められる。

備 考

労働契約法16条参照

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