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代表弁護士 小川敦也

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採用内々定の取り消しが期待権を侵害し不法行為を構成するとした事案 福岡地裁平成22年6月2日(コーセーアールイー採用内定取消)

事 案

被告から採用についての内々定を得ていた原告が,被告から内々定の取消しを受けたことは違法であるとして,債務不履行又は不法行為に基づいて,被告に対し,損害賠償を請求した事案

争 点

期待権侵害あるいは信義則違反の有無

結 論

被告の本件内々定取消しは,労働契約締結過程における信義則に反し,原告の上記期待利益を侵害するものとして不法行為を構成するから,被告は,原告が被告への採用を信頼したために被った損害について,これを賠償すべき責任を負う

認定事実

被告は,世界的な経済状況の悪化,被告を含む不動産業界全体の不振,被告の資金繰りの悪化等を十分認識し,夏季賞与カット,退職勧奨等の経営改善策を進める一方で,平成20年7月までに原告及びの内々定を決定し,入社承諾書をD 提出させたほか,同年7月30日には,原告及びDを被告事務所に呼んで,担当者B及び取締役管理部長Cで対応して,経済状態の悪化等があっても被告は大丈夫等と説明し,同年9月25日には,同年10月1日の原告及びDの正式内定を前提として,採用内定通知書交付の日程調整を行って,その日程を同月2日に決めたものである。このような事実経緯からみる限り,被告は,平成20年9月下旬(早くとも同月25日)に至るまで,被告の経営状態や経営環境の悪化にもかかわらず,新卒者採用を断念せず,原告及びDの採用を行うという一貫した態度を取っていたものといえる。したがって,原告が,被告から採用内定を得られること,ひいては被告に就労できることについて,強い期待を抱いていたことはむしろ当然のことであり,特に,採用内定通知書交付の日程が定まり,そのわずか数日前に至った段階では,被告と原告との間で労働契約が確実に締結されるであろうとの原告の期待は,法的保護に十分に値する程度に高まっていたというべきである

それにもかかわらず,被告は,同月30日ころ,突然,本件取消通知を原告に送付して本件内定取消しを行っているところ,本件取消通知の内容は,建築基準法改正やサブプライムローン問題等という複合要因によって被告の経営環境は急速に悪化し,事業計画の見直しにより,来年度の新規学卒者の採用計画を取り止めるなどという極めて簡単なものである。また,原告からメールによる抗議を受けながら,原告に対して本件内定取消しの具体的理由の説明を行うことはなかった。以上のように,被告が内々定を取り消した相手である原告に対し,誠実な態度で対応したとは到底いい難い。加えて,被告は,経営状態や経営環境の悪化を十分認識しながらも,なお被告は新卒者である原告及びの採用D を推し進めてきたのであるところ,その採用内定の直前に至って,上記方針を突然変更した具体的理由は,本件全証拠によっても,なお明らかとはいい難い。特に,被告における取締役報酬のカット幅や株主への配当状況等に照らせば,被告が,当時,いわゆるリーマン・ショック等によって緊急かつ直接的な影響が被告にあると認識していたのかは疑わしく,むしろ,経済状況がさらに悪化するという一般的危惧感のみから,原告及びDへの現実的な影響を十分考慮することなく,採用内定となる直前に急いで原告及びDの本件内々定取消しを行ったものと評価せざるを得ない。そして,本件全証拠によっても,当時,原告について被告との労働契約が成立していたと仮定しても,直ちに原告に対する整理解雇が認められるべき事情を基礎付ける証拠はない。

損害額

賃金相当の逸失利益

原告が被告以外に内々定を受けていた企業の給与が20万円であったことを認めるに足りる証拠はない。

また,同社の内々定を断った当時においては,平成20年5月30日に本件内々定を受けて,原告が入社承諾書を被告に送付したものにすぎないから,原告の期待権は法的保護に値する程度に達していたとはいえず,他に本件内々定の取消しと相当因果関係を有する賃金相当の逸失利益を認めるに足りる証拠はない。

 

 

慰謝料

 

本件内々定から本件内々定取消しに至る経緯,特に,本件内々定取消しの時期及び方法,その後の被告の説明及び対応状況,原告の就職活動の状況及び現在も就職先が決まっていないことなど,本件に現れた一切の事情を総合考慮すると,原告が本件内々定取消しによって被った精神的損害を填補するための慰謝料は,100万円と認めるのが相当である。

就職活動費

原告の支出した具体的費用やこれと通常必要とされる就職活動費との差額等は証拠上明らかでない上,これが期待権の侵害と相当因果関係を有する損害とも認められない。


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