著作権侵害による
損害賠償請求については、
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著作権を侵害する模倣品・海賊版を製造・販売・輸入するなどしている者に対して損害賠償請求することができます。通常、損害賠償を請求するには、被害者側が多くの事実について立証しなければなりません。しかし、その立証活動は困難な場合も多いので、損害額については著作権法が算定規定を設けており(著作権法第114条)、著作権者から侵害者に対する損害賠償請求を容易にしています。もっとも、損害賠償請求の前提として必要な侵害者の故意・過失については、侵害行為について過失があったものとの推定規定はありませんので、権利者の側で証明しなければなりません。
著作権侵害により、著作権者が自己の受けた損害の賠償を請求する場合において、著作権侵害者が侵害の行為によって作成された物を譲渡したときは、その譲渡した物の数量に、著作権者がその侵害がなければ販売することができた物の単位数量あたりの利益の額を乗じて得た額を、著作権者の販売等を行う能力に応じた額を超えない限度において、著作権者等が受けた損害の額とすることができます。ただし、譲渡数量の全部または一部を著作権者等が販売することができない事情があるときは、その事情に相当する数量に応じた額を控除するとされています(著作権法第114条第1項)。
「損害額」=「侵害者の譲渡等数量」×「権利者の単位あたりの利益」 (ここまでの計算結果が著作権者の販売等を行う能力に応じた額を超えない限度)−「権利者が販売等を行えない事情に応じた金額」 |
例えば、著作権侵害者が、著作物の海賊版を1万個販売し、著作権者の単位数量あたりの利益の金額が1000円だとすれば、1000万円の損害が、著作権者に発生したとされます。もっとも、著作権者の販売能力がこれを下回るときや、代替品の存在、侵害者の営業努力等があれば、減額される場合もあります。
著作権者等は、著作権侵害を行った者に対し、その著作権等侵害行為により侵害者が利益を受けている場合は、その利益の額が損害の額と推定されます。これに対し、侵害者は、権利者が受けた損害の額がもっと少ないことを反証しなければならなくなります。
「損害額」=「侵害者が得た利益」 |
例えば、侵害者が1000個の著作物の海賊版を販売した場合において、100万円の利益を受けているときは、その額が権利者の損害として推定されます。
著作権者等は、著作権侵害を行った者に対し、ライセンス料相当額を損害額として請求することができます。この規定は、損害額の最低限を法定した規定と考えられており、侵害者が実際の損害額がこれより小額であることを主張して損害賠償を減額させることはできません。
「損害額」=「ライセンス料相当額」 |
例えば、侵害者が、著作物の海賊版を販売して月額1000万円を売上げた場合において、権利者のライセンス料率の相場が売上高の8%であれば、著作権者の損害は月額80万円とすることができます。
著作権法114条3項に基づく損害賠償額については、著作権を侵害した者による販売額を基礎として、著作権料相当額を算定することが一般的です。しかし、いわゆる格安DVDを販売したことによる同項に基づく損害賠償額については、侵害者による販売額を基礎とすると、相当額が低廉となってしまうこともあり、著作権者において、通常の販売額を基準として相当額を主張する例が少なくありません。この主張を認めて、通常の販売額を基準として損害額を算定した裁判例もあります(知財高裁平成21年9月15日黒澤角川事件)。
著作権侵害の賠償に最低額 TPPで規定へ (2015/7/26 19:26)静岡新聞NEWS 【ラハイナ(米ハワイ州)共同】日米など環太平洋連携協定(TPP)交渉の参加12カ国が、著作権や商標権の侵害があった場合の損害賠償の最低額を規定する方向で調整していることが26日、分かった。複数の交渉関係者が明らかにした。 著作権などの保護強化が狙い。ブランドのロゴやアニメを手掛ける日本企業に恩恵がありそうだ。 日本は商標法など関連法規を見直す見通し。日本の裁判ではこれまで、実際に生じた損害に応じて賠償金が決められていた。米国のように制裁の意味を込めて高額の賠償金とすることには異論もあり、額はまだ決まっていないという。 |
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