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代表弁護士 小川敦也

東京弁護士会

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不正競争防止法

 不正競争防止法に違反する不正競争行為に対しては、民事手続きによる救済と、刑事手続きによる制裁が対応として考えられます。

 裁判所等、民事手続による救済として、①侵害行為等の差止めを求めること、②損害賠償を請求すること、③不当利得の返還を請求すること、④信用回復のための措置等を求めることが可能です。これとは別に、不正競争行為によっては、刑事事件となりえ、裁判の結果、刑事罰が適用されることもありえます。

民事手続きによる救済

①侵害行為等の差止め

②損害賠償を請求

③不当利得の返還を請求

④信用回復のための措置

刑事手続きによる制裁

 

不正競争行為

1.周知な商品等表示の混同惹起

2.著名な商品等表示の冒用

3.他人の商品形態を模倣する商品の提供

4.営業秘密の侵害

5.技術的制限手段を解除する装置等の提供

6.ドメインネームの不正取得等

7.商品・サービスの原産地、品質等の誤認惹起表示

8.信用毀損行為

9.代理人等の商標冒用行為

差止請求

 商品等の主体について混同誤認を生じさせる行為、他人の著名な商品等表示を使用する行為、デッドコピー商品を流通させる行為といった、不正競争防止法に違反する不正競争行為によって営業上の利益を侵害され、または侵害される恐れがある場合、これに対する差止めの態様としては、以下のものがあります(不正競争防止法第3)。

1.侵害行為をする者に対するその行為の停止の請求

2.侵害の恐れのある行為をする者に対する侵害の予防の請求

3.侵害行為を組成した物(侵害行為によって作成された物を含みます。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止・予防に必要な措置の請求

損害賠償

 不正競争行為により営業上の利益を侵害した者に対して損害賠償請求するには、多くの事実について立証しなければなりません。たとえば、損害賠償請求の前提となる不正競争行為者の故意・過失については、権利者の側で証明しなければなりません。

しかし、損害額については、法律が算定規定を設けており(不正競争防止法第5条)、不正競争行為者に対する損害賠償請求を容易にしています。

損害賠償額の算定規定その1(不正競争防止法第5条第1項)

  商品の形態をデッドコピーする行為や、商品形態がその商品の需要者の間に周知のものとなっているときにその商品の主体と混同を生じさせる行為、さらに混同の恐れがなくとも著名表示の無断使用行為といった不正競争行為によって、自己の営業上の利益を侵害された者は、侵害者が侵害行為組成物を譲渡したときは、その譲渡した物の数量に、自らがその侵害がなければ販売することができた物の単位数量あたりの利益の額を乗じて得た額を、自らのその商品の販売等の能力に応じた額を超えない限度において、自らが受けた損害の額とすることができます。ただし、譲渡数量の全部または一部を被侵害者が販売することができない事情があるときは、当該事情に相当する数量に応じた額を控除するものとされます(不正競争防止法第5条第1項)。

損害額=

「侵害者の譲渡等数量」×「被侵害者の単位あたりの利益」(ここまでの計算結果が被侵害者の販売等の能力に応じた額を超えない限度)「被侵害者が販売等を行えない事情に応じた金額」

  もっとも、競合品が存在したり、寄与率の問題があるなどの事情があれば、減額される可能性があります。

損害賠償額の算定規定その2(不正競争防止法第5条第2項)

損害賠償を請求するにあたって、不正競争行為者が不正競争行為によって利益を受けているときは、その額が、営業上の利益を侵害されたものの損害額であるものと推定されます。しかし、この規定は推定規定ですので、商品の用途方法や需要者の違い、被告商品の購買力が独自の要素に起因することなどを理由として推定が覆される可能性があります。また、寄与率によって、減額される可能性はあります。

損害額 = 不正競争行為者の利益

損害賠償額の算定規定その3(不正競争防止法第5条第3項)

不正競争行為によって、損害を受けた場合のその損害額の算定については、当該侵害に係る商品の形態の使用に際して、受けるべき金銭とすることができます。

損害額 = ライセンス料相当額

信用回復措置請求

 不正競争行為によって営業上の信用を害された場合には、謝罪広告などの信用回復措置を命ずる裁判所の判決を求めることができます(不正競争防止法第7条)。

刑事手続きによる制裁

 不正の目的を持って、不正競争防止法第2条第1項第1号に違反した者は5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処するとされているので、周知の商品等表示を使用して商品の出所について混同を生じさせる行為については刑事責任の追求も視野に入れることができます。また、懲役と罰金を併科(両方を科すこと)することができます。法人については、その業務に関して違反行為を行った場合、その実行行為者の処罰に加えて、業務主体たる法人にも罰金刑が科されるとする、いわゆる両罰規定がおかれています(不正競争防止法第15条)。

改正不正競争防止法が成立 企業秘密の海外漏洩、刑罰重く

日経新聞2015/7/3 11:41

 企業の秘密を海外に漏らした場合に、国内での流出事件よりも刑罰を重くする改正不正競争防止法が3日の参院本会議で与野党の賛成多数で可決、成立した。実行犯となった個人だけでなく、背後にいる企業の責任も追及する。6カ月以内に施行する予定だ。

 企業秘密の侵害に対する罰金の上限は個人が1千万円から2千万円に上がり、海外に漏らしたケースだと3千万円まで科す。法人の場合は3億円が5億円となり、海外への漏洩では10億円まで引き上げる。

 被害者の告訴がなくても検察官が起訴できるようになる。不正流出が未遂の段階での捜査も可能となる。情報を盗まれた企業が盗んだ企業を提訴する際、主要な立証責任を被告企業側に負わせる仕組みも取り入れた。


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