人件費抑制施策としてのサービス残業(割増賃金)対策
人件費は人員数、人件費単価、労働時間の積と捉えることができます。厳しい経済情勢が続く中,何とか人件費を抑えようと,どの企業も賢明になっていますが,その方法は多種多様です。しかし,適正な段階を踏んでいかなければ,かえって損害を拡大してしまうこともあります。実際,未払い賃金に関する相談は年々増えており,労基署の対応も年々厳しいものとなっているのです。
通常,人件費抑制は,比較的着手が容易な短期的施策から実施されます。受注量や生産量の減少に伴う派遣社員やパート・アルバイト等の非正社員の雇い止め、正社員の賞与カットや残業抑制等が一般的です。それでもなお削減効果が十分ではないと判断される場合に初めて,昇給の凍結や給与カットが行われ、更には給与水準の見直しや給与構成の変更といった中長期的施策が実施されることになります。
まずは,残業代対策から(人件費削減のデメリット)
人員カットや基本給の水準の見直し等の固定費削減は従業員のモチベーションを損なう原因となり,ひいては生産性の低下を招きかねません。そこで,まずは残業代の抑制から始めるのが穏当です。
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短期的施策 |
中長期施策 |
人員 |
非正規社員 |
雇い止め |
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契約期限満了前打ち切り |
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採用抑制 |
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正社員 |
早期退職 希望退職 |
会社分割 |
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退職勧奨 |
事業譲渡 |
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出向・転籍 |
事業撤退 |
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採用抑制 |
組織再編 |
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単価 |
賞与カット |
給与水準 の見直し |
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昇給凍結 |
給与構成 の見直し |
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給与カット |
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労働時間 |
残業抑制 |
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変形労働時間制 (裁量労働・フレックス) |
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生産調整 業務停止 |
変形労働時間制の活用
変形労働時間制とは,一定期間内において,所定労働時間を平均して,1週間の法定労働時間を超えなければ,その期間の一部については法定労働時間を超えても残業手当を支給する必要はないとするものです。
「1日の所定労働時間が7時間,各週土曜日が休日」というケースを見てみましょう。
みなし労働時間制の活用
「みなし労働」とは,労働時間を算定するのに困難なものについて所定労働時間勤務をしたとみなすことをいいます。みなし労働時間制は,その職場や就労形態に該当すれば何時間働こうが残業時間は一定化されます。
「一日の所定労働時間が7時間のところ,10時間労働したケース」を見てみましょう。
適切な時期に,適切なステップを
その他,残業をする際は事前に自己申告をさせるなどの方法も考えられます。これらも適切に時期に,適切な段階を経て策定する必要がありますので,是非ご相談ください。