労働審判手続きの概要
労働審判に臨むにあたり、その手続きの流れを理解することは重要なことです。ここでは、労働審判手続きの流れを簡単にご説明します。
第1回期日の指定と相手方への呼出し
労働審判の第1回期日は、申立がなされた日から40日以内に指定されます。実際の期日指定は、申立人(申立代理人)の都合を聞き、申立人(申立代理人)が出頭可能な日時に指定されます。労働審判官は、期日を定めた後、事件の関係者に呼出状を送付します。相手方には出頭義務が課され、これに違反した場合には5万円以下の過料の制裁が科されます。
相手方の答弁と第1回期日までの準備
相手方は、申立書に対する答弁を記載した答弁書を指定された提出期限内に提出しなければなりません。予想される争点について証拠書類があるときは、答弁書に添付して提出します。人証の予定者についても同様に答弁書に記載します。
申立人は、答弁書の内容を吟味し、必要であれば反論を準備することとなります。労働審判では、第1回期日から調停が試みられるので、調停による紛争の解決も検討し、その解決水準を確認しておく必要があります。
労働審判第1回期日
(1)争点及び証拠の整理
まず、申立書や答弁書等に記載された事実につき、当事者の話を聞いたうえで、争点及び証拠の整理が行われます。不明な点については釈明が求められますので、当事者本人の出頭が不可欠となります。
(2)証拠調べ
労働審判においては、第1回期日から書証の取り調べや、人証調べがなされます。
(3)調停の試み
労働審判においては、第1回期日から調停が試みられることもありますので、決済権限を有する者の同行が不可欠となります。
(4)労働審判の言い渡し
労働審判は最大3回の期日をもって終了しますが、簡易な事案で、調停の成立が見込めない事案の場合には、第1回期日に労働審判が言い渡されることもあります。
(5)第2回期日の指定
労働審判官は、次回期日に行う手続き及び次回までに準備すべきことを確認したうえで、第2回期日を指定します。通常、約1ヶ月後に指定されます。
労働審判第2回期日
第2回期日では第1回期日で整理・把握された内容をさらに検討し、また、追加で提出された書面の内容把握・証拠調べ等を行います。調停による解決が見込まれるときには調停案を双方に提示して調停の成立を目指します。第2回期日でも審理を終えることができないときは、第3回期日を指定します。調整の成立が見込まれない場合には、労働審判が出されることがありうることは第1回期日と同様です。
労働審判第3回期日
第3回期日でも、必要がある場合には証拠調べを行い、調停作業を行います。第3回期日においては、この調停の試みが主となります。調停がまとまらない場合には、審理を終結して審判を行います。労働審判は、2週間以内に異議が出なければ、裁判上の和解と同一の効力、すなわち、判決と同じ効力が生じます。
労働審判に対する異議
労働審判に対しては、申立人、相手方のいずれからも異議の申立てをすることができます。適法な異議がなされると、労働審判はその効力を失います。異議申立期間は、審判書の送達もしくは、審判手続における口頭での告知を受けた日から2週間です。
労働審判に対して異議が出されると、労働審判の申立時点で、当該労働審判事件が継続していた地方裁判所に訴えの提起があったものとみなされます。
労働審判に関するご相談は無料
アライアンス法律事務所は、労働審判を申し立てられた経営者をサポート致します。労働審判を申し立てられた経営者の方からのご相談は無料です。お早目にご相談ください。